ゲノム編集食品が食卓に?3つのデメリットと危険性を管理栄養士が解説!
皆さんは、ゲノム編集食品を知っていますか?2021年に日本で初めてゲノム編集食品が販売されて以降、複数のゲノム編集食品が国への届け出を完了し、実際に販売されています。
今後さらに市場規模が拡大するとされているゲノム編集食品ですが、そのデメリットが気になりますよね。
そこで今回は、ゲノム編集食品がもたらす3つのデメリットと危険性を管理栄養士みのりが解説します。
- ゲノム編集食品のデメリットと危険性を知りたい
ゲノム編集食品が食卓に?
2021年9月15日、国内で初めてゲノム編集されたトマトがインターネットに流通して以来、マダイとトラフグも届出が受理されトマト同様インターネット上で流通しています。
ゲノム編集トマトは一般的なスーパーで流通はしていませんが、インターネットを中心に苗や青果が販売されています。
過去には、ゲノム編集トマト「シシリアンルージュ」が福祉施設と小学校に無料配布されることが話題となりました。
結果として、ゲノム編集食品に不安を持つ市民団体の強い反対や署名活動によりシシリアンルージュの苗を受け取る自治体はゼロとされています。
しかし、一度国に受理されたゲノム編集食品は安全性が明らかでなくても、福祉施設や教育機関を通して「無償提供」という形を利用して知名度を拡大しました。
その他にゲノム編集マダイとトラフグは、それぞれ「22世紀フグ」「22世紀鯛」と称され、京都府の料亭での提供やふるさと納税の返礼品として販売されています。
下記は、日本で届け出や販売が開始されたゲノム編集食品です。
2020年12月11日 | 血圧の上昇を抑えるトマト「シシリアンルージュハイギャバ」の届け出が厚生労働省に受理 |
2021年9月15日 | 上記トマトがインターネット販売開始 |
2021年9月17日 | 肉厚のマダイ「22世紀鯛」が厚生労働省に受理。同時に、クラウドファンディングで190食分の予約販売を開始 |
2021年10月29日 | 成長の速いトラフグ「22世紀フグ」が厚生労働省に受理。同時に、クラウドファンディングで290食分の予約販売を開始 |
2023年3月20日 | モチモチ食感を高めるトウモロコシ「ワキシーコーン」が厚生労働省に受理 |
2023年3月には、モチモチとした食感を高めるトウモロコシがゲノム編集食品として厚生労働省に受理されました。
トマトやマダイ、トラフグに続きゲノム編集されたトウモロコシもインターネットを中心に流通し、食卓に並ぶ日は遠くありません。
ゲノム編集食品のデメリットと危険性とは
ゲノム編集食品のデメリットと危険性は3つ。
1つ目は、意図しない変異が起きてしまう可能性があること。
2つ目のデメリットは、ゲノム編集食品に表示義務はないこと。
そして3つ目のデメリットは、条件を満たせばゲノム編集食品であることを国に届け出る必要がないことです。
ゲノム編集食品のデメリットと危険性①意図しない変異が起こる可能性
ゲノム編集技術は、ハサミとなる酵素を使ってゲノムを構成しているDNAをカット(編集)し、遺伝子を書き換える技術です。
ハサミとなる酵素は、カット(編集)する目的と似た構造の遺伝子があると誤ってカットしてしまう可能性があります。
これをゲノム編集食品のオフターゲットといいます。
ねらった構造以外の遺伝子をカットしないよう、構造が似ている部分が少ないところを選ぶことやカットする酵素の開発も進んでいてオフターゲットが起こる可能性は極めて低いとされています。
しかし、オフターゲットによって思いもよらない突然変異が起こり、結果として未知の危険性を生じさせてしまう可能性があります。
ゲノム編集食品のデメリットと危険性②表示義務がない
ゲノム編集食品には、表示義務がありません。
ゲノム編集食品は、もともとある遺伝子情報をカットして操作する技術を用いています。
他の遺伝子情報を組み込むのではないため、日本では安全性の審査は必要ないとされています。
さらに、ゲノム編集食品は、もともとその食品が持っている遺伝子情報をカットするだけなので、従来の品種改良されたものと区別することはできません。
アメリカでは、従来の品種改良と区別できないとして日本と同じように安全性に関する審査は必要ないとしています。一方EUでは、ゲノム編集食品の使用に関する規制は適用すべきとされています。
日本やアメリカでのゲノム編集食品における大きな問題点は、その表示義務がないことで消費者が知らずに口にしてしまうことです。
ゲノム編集食品のデメリットと危険性③国への届け出が不要な場合がある
ゲノム編集食品は国への届け出が必要です。
しかし、ゲノム編集食品であっても国への届け出が不要な場合があります。
具体的には、過去にゲノム編集食品として届け出された親と従来品種から作られた子となる交配種です。
子となる交配種は、届け出されたゲノム編集食品をさらに品種改良したものです。
国は、安全性への懸念が認められないとして届け出は必要ないと結論付けています。
ゲノム編集食品にもメリットはある?
デメリットや危険性が指摘されているゲノム編集食品ですが、メリットもあります。
ゲノム編集食品最大のメリットは、手間と時間をかけずに効率よく農作物を作れることです。
ゲノム編集食品は、ねらった遺伝子情報をカット(編集)することで効率的に作ることができ、品種改良のように手間と時間をかけることはありません。
例えば、味は良いが寒さに弱いトマトの場合、従来の品種改良であれば味は良いが寒さに弱いトマトと、寒さに強いトマトをかけ合わせて何度も交配を繰り返して味が良くて寒さにも強いトマトを作り出します。
一方、ゲノム編集技術を用いた場合は、味は良いが寒さに弱いトマトの「寒さに敏感」である遺伝子情報をねらってカット(編集)ができるので大幅な時間の節約となります。
効率的に希望の農作物を作ることができるゲノム編集技術は、現段階では生産者側のメリットが大きいです。
作業効率の大幅な向上に貢献しているゲノム編集食品ですが、その表示義務がない点や条件を満たせば国への届け出すら必要ない点においては消費者の知る権利、選択する権利が失われてしまいます。
まとめ
ゲノム編集食品の3つのデメリットと危険性を管理栄養士みのりが解説しました。
ゲノム編集食品のデメリットは、表示義務がないことや意図しない変異による環境や人体へのリスクが未知であること、国への届け出が不要な場合があることです。
効率よく農作物を作ることができるゲノム編集食品ですが、生産者側のメリットが大きく、消費者のメリットは決して大きいとは言えません。
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