カット野菜は危険で体に悪い?次亜塩素酸ナトリウムが及ぼす人体への影響

大手チェーン店のサラダバーやコンビニのカット済みサラダなど、様々な場面で見かけるカット野菜。
これらの野菜の多くは、鮮度を保つために消毒されていることをご存じでしょうか?
消毒に最も多く使用されているのは次亜塩素酸ナトリウムですが、安全性が気になりますよね。

そこで今回は、野菜の消毒で使われる次亜塩素酸ナトリウムに潜む危険性と人体への影響を管理栄養士のみのりが解説します。
- 野菜の消毒に使われている消毒液の危険性を知りたい方
カット野菜は危険?
次亜塩素酸ナトリウムで消毒されたカット野菜の危険性に関する研究は行われていますが、危険であると断定できるデータはありません。
さらに、栄養面においても水道水での洗浄と次亜塩素酸ナトリウムでの洗浄殺菌では、大きな差はみられないという意外なデータもあります。


次亜塩素酸酸ナトリウムと添加物のクエン酸が化学反応を起こして有毒ガスのトリクロロメタンが発生することが研究で明らかになっています。
一方で、発生した有毒ガスのトリクロロメタンは水道水での洗浄で含有濃度レベルを下げることができるということも明らかになっています。
また、カット野菜に栄養が壊されると言われますが、事実ではありません。
野菜の栄養が減ってしまう主な原因は、次亜塩素酸ナトリウムの消毒によって起こるのではなく、水の洗浄によって起きていることが分かっています。
カットレタスを用いた次亜塩素酸ナトリウムでの洗浄殺菌と、水道水での洗浄実験では栄養成分に差は見られないとのデータがあります。
また、厚生労働省の添加物報告書によると、パセリの殺菌処理実験では、未処理のものと有意な差はみられないことがわかっています。



洗浄・殺菌方法で栄養価の大きな違いがみられないのは意外ですね。
参考文献
https://www.sciencedirect.com/science/article/abs/pii/S0925521415300375
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jjfcs/19/2/19_KJ00008157724/_article/-char/ja/
https://www.jstage.jst.go.jp/article/ajscs/21/0/21_0_1059/_article/-char/ja/
https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/2r9852000002wy32-att/2r9852000002wybg.pdf
次亜塩素酸ナトリウムの野菜洗浄とは?
カット野菜などの非加熱で提供される野菜は、次亜塩素酸ナトリウムで消毒された後にすすぎ洗浄によって成分が残留することはないとされています。
そのため、食品添加物として表示されることはありません。
つまり、コンビニで消毒済みのカット野菜が提供されているにもかかわらず、原材料欄に「次亜塩素酸ナトリウム」の表記をしなくてよい決まりになっているのです。



表示しなくてもよい(表示免除)は、消費者の不安を煽ることにつながりかねませんね。


病院や給食センターなどの大量調理をしている施設では、次亜塩素酸ナトリウムを用いた際の濃度が決まっており、野菜の消毒の場合は0.02%濃度に5分以上浸すことが必要です。(参考:大量調理施設管理マニュアル)
500mlのペットボトルにキャップ1/2の次亜塩素酸ナトリウムを入れているイメージです。
消毒後は、流水で十分に流すこともマニュアルで決められています。
カット野菜は消毒後の流水洗浄が十分に行われています。
しかし、サラダから漂白剤の臭いがするという意見もあります。
消毒液の希釈濃度が決められた濃度よりも高い、又は消毒後の洗浄が不十分な可能性は否定できません。



カット野菜の購入後は、洗浄不要でそのまま食べることができますが、敏感な方は食べる前に水道水での洗浄を行うと安心ですね。
次亜塩素酸ナトリウムが及ぼす人体への影響
カビに対する殺菌だけでなく、食品の漂白や殺菌料としても使用されている次亜塩素酸ナトリウムは、誤った使用方法で人体への悪影響も報告されています。


次亜塩素酸ナトリウムは、お酢やクエン酸などの酸性のものと混ぜ合わせると有毒な塩酸ガスが発生します。
発生した有毒ガスを吸入すると肺水腫などの危険な健康障害をもたらす例も報告されています。
さらに、低濃度の次亜塩素酸ナトリウムであっても繰り返し 長期にわたって吸入するとアレルギー性疾患が増悪する例も報告されています。
1度の使用量と頻度には気を付けましょう。
参考文献
https://www.jstage.jst.go.jp/article/vetrdi/3/1/3_1/_pdf
カット野菜は危険で体に悪い?次亜塩素酸ナトリウムが及ぼす人体への影響のまとめ
カット野菜に使用されている次亜塩素酸ナトリウムの危険性についてまとめました。
衛生面を第一にしている外食産業では、次亜塩素酸ナトリウムを用いた消毒が一般的に行われています。
次亜塩素酸ナトリウムは、水道水での洗浄と栄養価はほとんど変わらずに殺菌料としての役目を果たすことができる非常に優れた消毒液ですが、使用方法を間違えると非常に危険です。
また、生野菜の洗浄で次亜塩素酸ナトリウムを使用した場合は、流水で十分に流されているため危険性は高くないです。
しかし、漂白剤を用いた消毒をしていることも事実です。
カット野菜を使用する場合は一度洗い流すのも手段ですね。



自宅での食事はカットされていない野菜を購入し、忙しいときはカット野菜を利用するなど、上手に利用しましょう。
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